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<対馬探訪2023> 8.元寇の舞台をめぐる②いざ、戦いの痕跡さがし

さて、前回はモンゴル軍が上陸した「佐須浦(現在の小茂田浜)」を見てきました。
今回はもう少し周辺を歩いて、戦いの痕跡を探していきたいと思います。
では、行ってみましょう~!

佐須浦と佐須川

かつての佐須浦、現在の小茂田(こもだ)浜に流れ込む川は佐須川という川です。
おそらく、昔は入り江が形成されていて今よりも深く内陸まで舟で入れたと思われます。
いまでも佐須川の河口域は、海水が入り込んでいて汽水になっています。




河口部は谷が形成されているので、このあたりは入り江になっていたのでしょう。
湾から1.5kmほどの場所に古墳群があるので、その古墳付近まで海が入り込んでいたと思われます。

地元では湾から2kmほど内陸に入った金田(きんだ)小学校付近が戦場とも伝わっているそうです。そうすると、やはり今の湾や浜よりも、もっと奥まで舟で入って来れた可能性がありますね。




地元ではこの小学校付近に、モンゴル軍が上陸したと伝わっています。
現在小学校の前はこのような景観。



想像が膨らむ景色。
川沿いに畑が広がっていて、いい谷になっていますね。
川や入江を使った水上交通の様相が浮かんで楽しい光景です。
湾の砂州であったと思われる「佐須浦」にももちろん上陸されたでしょうし、このあたりの内陸までも入り込まれたのでしょう。
なんせ、1000人が上陸したと伝わっているので、この周辺全体で激戦となったのでしょう。

この佐須川を遡っていくと、「関ノ隈山」という地名がありました。
気になります。川関でしょうか?
やはり、古くから佐須川がこのあたりの水運の大動脈だったかもしれません。
また近いうちに対馬に来て調べたいと思います!(何度でも来たいです!笑)
 

「ヒシキダン」でタイムトリップ!

佐須浦周辺で、私が一番感動したのがこの景色!
タイムトリップ感を存分に味わえます。



ジャジャン。
ここは地元で「ヒシキダン」とよばれている高台です。
上ると、現在の小茂田浜や佐須川など一望できます。
入江が入り込んでいたんだろうなぁという地形も感じられます。
そして、なんといっても見張り台にピッタリ!
ここが宗助国の軍勢が陣を張ったとも伝わる場所です。




遠景はこちら。
矢印で指している小さな丘のような山が「ヒシキダン」です。
小さな高台ですが、ちょうど良い高さ。
上ってみると、この周辺で一番見張りに適してるように感じられます。



登り口はこのような感じ。
いつの頃か分かりませんが、岩盤を掘って登り口にしてます。
上がっていくと、海の安全祈願の神社がありました。海上交通の鎮守なのでしょう。

やはり、現地を訪れて自分の目で景色を見ると色々な気づきがあって楽しいですね。




実はこの「ヒシキダン」、ブラタモリでも取り上げられていました。
「ヒシキ」という名前の山があって、斜面の緩い箇所を「ダン」というので、「ヒシキダン」だと説明されていました。
私は現地で上がってみて、この山は、いわゆる灯台だったかなと思いました。
海の安全祈願はもちろんですが、舟が帰ってくる目印に松明を焚いて灯台にしていたのではないかなと思いました。
さらに、「ヒシキ」の「ヒ」から連想すると、古代の狼煙台の可能性もあるのかなと思いました。「日野」「火守」などの地名は古代の狼煙台の可能性がありますので。
現地を歩いて、自分なりに考えるのは歴史を楽しむ醍醐味ですね。
それだけ、この小茂田浜、かつての佐須浦が海上交通の要衝だということが分かりますね。
 

矢立山古墳の「矢立」って?

今回歩いたエリアには国指定史跡の矢立山古墳群があります。
九州では類のない積石方形段築墳や、積石塚長方形墳など、とても貴重な古墳であることが調査から分かっています。



これらは、中央官人の中で流行っていた最新の形だそうで、7世紀代の大和朝廷と密接に繋がることが指摘されています。
7世紀末というと、まさに白村江の戦いの時代。
ここから北に直線距離で10kmほどいったところに金田城が位置します。
その間には、対馬の聖なる山である白嶽の尾根が南北に延びています。
白嶽の尾根を通して、金田城のエリアと繋がっていたのでしょうか?




対馬は考えれば考えるほど、謎が深まります。
また来なきゃ!と思います笑

そして、古墳の名前にもなっている「矢立」の由来はなんでしょう?
元寇の戦いの際に矢を立てたなど、そういう類でしょうか?
そうすると、この矢立山と合戦地とも伝わる金田小学校はとても近いので、モンゴル軍上陸の伝承と場所的に合致しますね。
色々考えるのは面白いですね。

今回はヒシキダンや川と入江、矢立山など、自分の足で歩いて見て楽しむ歴史をご紹介しました。
ぜひ、現地を訪れて楽しんでください。

次回は、元寇で奮戦し討ち死にした武士の伝承や彼らのお墓を探しにいきます。
お楽しみに。



Text & Photo / 山城ガールむつみ


Archive List
1.元寇の舞台をめぐる①いざ、モンゴル軍上陸の佐須浦へ
2.元寇の舞台をめぐる②いざ、戦いの痕跡さがし
3.元寇の舞台をめぐる③いざ、英雄たちの足跡さがし
4.憧れの対馬!壮大な歴史と文化

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